
収入型住宅や賃貸併用住宅、という言葉を皆様はご存知でしょうか?
文字通り、自宅の機能に加えて、賃貸住宅部分を備えた住宅のことです。
自宅の建て替えなどを機に、賃貸用の住居部分をつくって入居者に貸し出すことで、家賃収入を得ることができる、「収入つき住宅」などとももいわれるこの住宅。
無理のない負担でマイホームを持つことができる「収入を得ながら快適に暮らす住まい」として、現在とても注目が集まっています。
RC賃貸併用住宅のメリット
1.自宅建設のローンの負担が軽い
賃貸併用住宅でうれしいことといえば、なんといっても賃貸部分が収入を生んでくれること。これは賃貸住宅部分からの収入を、自宅の建設費のローンにあてることができるということになります。つまり、無理のない負担でご自宅の建替が可能になるというわけです。
2.月々の収入源を確保
ローン返済分より家賃収入が多ければ、月々の安定した収入源とすることができます。
退職後の生活設計などでは安心できる私的年金にもなります。
3.相続税、固定資産税対策
賃貸住宅の優遇税制が利用でき、相続税や固定資産税の負担が軽減されます。
○相続税
- <貸家建付地の評価>
- 賃貸住宅では、「居住権」を考慮して、相続税評価額が低く抑えられています。
- ・土地の評価額:評価額×(1-借地権割合(※1)×借家権割合(※2)×賃貸割合(※3)) ・家屋の評価額:評価額×(1-借家権割合×賃貸割合)
- <小規模宅地の評価の特例>
- 特例を使う条件を満たせば、200㎡以内の部分については評価額が50%となります
- <借入金の債務控除>
- さらに、ローン等が残っている場合、遺産総額から差し引くことができます。
○固定資産税
- <小規模宅地の評価減>
- 小規模住宅用地として戸あたり200㎡以下の部分の土地評価額が下がり、固定資産税が1/3まで軽減されます。200㎡を超える賃貸住宅は少ないため、多くの減額が期待できます。
4.家族の近居に対応
遠地から帰ってきた子どもなど、近くに住みたい家族がいれば、賃貸部分をフレキシブルに家族の住まいとして使うこともできます。
賃貸併用住宅のデメリットは?
・初期費用がかかるのでは?
初期費用は、賃貸住宅部分の建設費がかかるため、自宅を建てる時より多くかかります。ローンが組めるのかどうかはまず心配な部分ですね。また、どのくらいのリスクを許容範囲とできるかは、その人の考え方、性格によってさまざまですが、いずれにせよ慎重な検討のうえで決めなくてはなりません。必要に応じ、ファイナンシャルプランニングなどの方法で、客観的な分析を行ったうえでのでの判断をするとよいでしょう。
・経営なんて、どうやったらいいかわからない
事業なんてやったことがないという方にとっては、「経営」というだけで不安を感じるかもしれません。確かに賃貸経営も、立派な事業の一つ。帳簿づけの手間や経営についての情報収集などは、どうしても必要になってくるでしょう。
ただし、他の事業に比べれば比較的取組みやすいこと、また賃貸管理会社など必要に応じた範囲で外部の手を借りられることは覚えておきたいポイントです。
・入居者が入らないのでは?
賃貸住宅業界も、以前のようにどんな建物でも「建てれば入る」という時代は終わり、空室も目立つようになりましたから、この不安は当然。また、事実として、場所によってはどうしても事業として成り立たないこともあるでしょう。賃貸併用住宅を作るにあたっては、適切な市場調査のうえで判断しなくてはなりません。また、立地に見合った企画や、管理サービスなども必要です。こうしたことはぜひノウハウのあるプロからのサポートがほしいところ。建設にも、賃貸のノウハウというマイホームとは違った視点が欠けていると、失敗の元になるかもしれません。
・一つ屋根の下に他人が暮らすと窮屈?
自宅の敷地に全くの他人が暮らすというのは、やはり気になるものですね。また、入居者の側にしても、オーナーさんとちょくちょく顔を合わせるのは気まずいということもあるでしょう。こうしたことを、建物の企画の段階で充分に配慮しておかなくては、その後の経営の失敗の元となってしまうことも。
一方で、管理という意味では、実は自宅のそばにある物件なら自然に目が届くという裏表のメリットもあります。入居者とよい関係を築くことができたら、大成功ですね。
このように様々なデメリット、注意点もある賃貸併用住宅。
取組みに当たっては、デメリットを最低限に抑えて、しっかりとメリットを活かしたいですね。
